人材紹介サービス(有料職業紹介事業[13-ユ-301837])
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やブログ(日記風の簡易型ホームページ)といった利用者参加型のネットサービスの拡大に伴って、社員によるネット上での発言への対応が企業などの課題として浮上している。社員が書き込んだ内容などが情報漏えいや対外的な信用の失墜につながるケースが増えているからだ。
昨年秋、農林水産省は省内のパソコンからネット上に業務とは関係のない書き込みをしたとして複数の職員を厳重注意した。職員らは誰でも執筆・編集ができるネット上の百科事典「ウィキペディア」に、アニメ「機動戦士ガンダム」に関する記述や映画の感想などを書き込んでいた。宮内庁も、庁内のパソコンで同百科事典の天皇陵に関する批判的な記述を削除したとして、職員に厳重注意を与えた。
職員らの行動は、ウィキペディアを編集した利用者のIP(インターネットプロトコル)アドレスと組織名などを対応させる専用ソフトの利用で明るみに出た。同じようにIPアドレスなどから電子掲示板や出会い系サイトに書き込んだ社員が所属する企業名が特定され、ネット上の話題になってしまうケースは少なくない。
もちろん、ネット上で発言すること自体が必ずしも問題をはらんでいるとは限らない。だが、社員が業務にかかわる機密情報や顧客の個人情報などを書き込んだり、発言の内容が企業ブランドを傷つけたりする場合は大きなリスクになる。
昨年十一月末ごろ、大手牛丼チェーン「吉野家」のアルバイト店員が店内で大量の具を丼に盛り付ける様子を撮影、動画共有サイトに投稿した。同社には、動画を見た消費者からの苦情が相次いだという。
企業側は特定サイトの閲覧を制限するフィルタリング技術を社内に導入するなど、問題の未然防止に乗り出している。
フィルタリング大手のネットスター(東京・渋谷)が昨年十一月に実施した調査によれば、同技術を導入した大企業の八割前後が電子掲示板「2ちゃんねる」やアダルト系ブログへのアクセスを制限。五割以上がSNSサイト「mixi」にアクセスできないようにしていた。「これまで企業は危ないサイトを『見せない』という点に主眼を置いていたが、この一年ほどで『投稿させない』に変わった」(同社)。
フィルタリングの導入効果は高い。「導入後の半年で制限対象サイトへのアクセスを試みる社員が半分に減るケースもある」(フィルタリング大手のデジタルアーツ)。ただ、導入企業は増えているとはいえ、中小企業も含めると導入の割合はまだ一―二割でしかないという。社内では制限できても、社員の自宅パソコンまでは追いかけられないという課題もある。
さらに、フィルタリング技術の導入には、全社一律のアクセス制限をかければいいと単純には言えない難しさがある。職種によってはネットを使った情報収集や利用者参加型サービスの利用が、新規ビジネスの発掘や新技術の開発などプラスの効果につながることもあるからだ。
日常生活でネット上への情報発信が当たり前になった今、単に社員の活動を技術で制限するだけではリスクを回避できない。「Web2・0」時代にふさわしいネット活用のあり方の再構築を迫られている。
2008/03/10, , 日経産業新聞, 3ページ
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